日本シリーズ過去の全記録と大逆転の真相!歴代優勝と名勝負一覧
秋風が吹き始める10月下旬、日本のプロ野球ファンが最も熱狂する頂上決戦が幕を開けます。1950年(昭和25年)の第1回大会から75年以上の歳月を重ねてきた「プロ野球日本選手権シリーズ(通称:日本シリーズ)」は、単なるスポーツの勝敗を超え、時代ごとの社会情勢や組織論、そして極限状態における人間の心理を映し出す鏡として機能してきました。日本野球機構(NPB)オフィシャルサイトのバックナンバーや日刊スポーツなどの報道記録を紐解くと、そこにはペナントレース140試合超の積み重ねがわずか数日間で覆る残酷さと、奇跡のドラマが同居しています。
2026年現在、セイバーメトリクス(統計学的データ分析)やトラッキングシステムが全12球団に浸透し、戦術の高度化は極限に達しました。しかし、どれほどデジタル化が進もうとも、日本シリーズの過去の対戦成績に刻まれた「3連敗からの4連勝」や「シーズン3位からの下剋上」といった番狂わせのメカニズムは、無機質な数値だけでは説明がつきません。本記事では、公式記録と当事者たちの証言・手記をもとに、歴代優勝球団の勢力図から語り継がれる名勝負の真相までを多角的に検証します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:セ・パ両リーグの通算対戦成績はほぼ完全な五分であり、2010年代のパ・リーグ圧倒期を経て2020年代は再び激しい拮抗状態にある。
- 要点2:過去75回以上の歴史で「0勝3敗からの4連勝」による大逆転日本一はわずか3例(1958年西鉄、1986年西武、1989年巨人)しか達成されていない。
- 要点3:短期決戦の勝敗を分けるのは戦力値だけでなく、ベンチと選手の「心理的バウンダリー(境界線)」の維持と、重圧を跳ね返す組織マネジメントにある。
【日本シリーズ過去の真相】3連敗から奇跡の4連勝!語り継がれる大逆転劇と名勝負の歴史
日本シリーズの過去の歴史を振り返る際、ファンの記憶に最も強烈なインパクトを残しているのが、絶体絶命の崖っぷちから常識を覆した大逆転劇です。7戦4勝制で行われる短期決戦において、先に3連敗(0勝3敗)を喫したチームがそこから4連勝で日本一に輝く確率は、統計上わずか数パーセントに過ぎません。しかし、長いプロ野球の歴史の中で、この「奇跡の4連勝」を成し遂げた球団が3つだけ存在します。
最初の奇跡は、1958年(昭和33年)の西鉄ライオンズ対読売ジャイアンツです。水原茂監督率いる巨人に3連敗を喫し、後がなくなった西鉄の三原脩監督は、第4戦以降のすべてを絶対的エース・稲尾和久投手に託す決断を下しました。当時の特番インタビューや稲尾氏自身の自著・手記で語られた「三原監督から『お前で負けたら本望だ、心中しよう』と告げられ、体の芯から震えが止まり、疲労が消え去った」という生の告白は、今なお語り草となっています。稲尾投手は第4戦から第7戦まで4連投し、第5戦では自らサヨナラ本塁打を放つなど、全7試合中6試合に登板して1人で4勝を挙げる超人的な活躍を見せ、史上初の大逆転劇を完結させました。
2度目の奇跡は、1986年(昭和61年)の西武ライオンズ対広島東洋カープによる一戦です。第1戦が延長14回引き分けとなった後、広島が3連勝して一気に王手をかけました。しかし第5戦、追い詰められた西武は延長12回裏、投手の工藤公康氏がプロ初安打となるサヨナラタイムリーを放って息を吹き返します。勢いに乗った西武は第6戦、第7戦を連取し、日本シリーズ史上唯一となる「第8戦」へ突入。敵地・広島市民球場で秋山幸二氏がバックスクリーンへ同点2ランを叩き込み、直後に有名な「バック宙ホームイン」を披露して試合の流れを完全に掌握しました。1分3敗から4連勝という前代未聞の逆転劇は、西武黄金時代の象徴として記録されています。
そして3度目が、1989年(平成元年)の読売ジャイアンツ対近鉄バファローズです。仰木彬監督率いる近鉄が第1戦から3連勝を飾り、第3戦終了後のヒーローインタビューや囲み取材のニュアンスが火種となりました。このシリーズで最も有名なのが、近鉄・加藤哲郎投手が放ったとされる「巨人はロッテより弱い」という挑発発言ですが、後年の本人および取材記者の証言を検証すると、実際のニュアンスには大きなギャップがあります。加藤氏は「シーズン終盤に対戦したロッテの打線の方が、振りが鋭くて怖さがあった」と客観的な印象を述べたに過ぎませんでしたが、報道各社の見出しによって刺激的な言葉に変換され、巨人ナインの猛烈な反発心に火をつけました。結果として、第4戦で香田勲男投手が完封勝利を挙げた巨人が怒涛の4連勝を達成。第6戦・第7戦で本塁打を放った駒田徳広氏が、打撃直後に近鉄ベンチへ向かって右拳を突き上げた光景は、人間の感情が戦局を左右した決定的な瞬間でした。
さらに近年では、2024年(令和6年)の横浜DeNAベイスターズ対福岡ソフトバンクホークスの戦いも、歴史的逆転劇の系譜に新たな1ページを加えました。セ・リーグ3位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がったDeNAは、本拠地・横浜スタジアムで開幕2連敗を喫し、シーズン91勝の絶対王者ソフトバンクの前に圧倒的劣勢に立たされます。しかし、敵地みずほPayPayドーム福岡での第3戦から26イニング連続無失点という鉄壁の投手リレーを展開し、一気に4連勝で26年ぶりの日本一を掴み取りました。
【2026年最新】日本シリーズ歴代優勝球団と対戦成績一覧まとめ|セ・パ勝率と日本一回数ランキング
日本野球機構(NPB)の公式発表資料および年度別日本シリーズ結果データ(1950年〜2024年の全75回、および2025年シーズン終了時点の最新動向)を集計すると、セ・リーグとパ・リーグの勢力図は時代ごとに劇的な変遷を遂げてきました。かつて「人気のセ、実力のパ」と呼ばれながらも、V9時代(1965年〜1973年)を含む昭和期は読売ジャイアンツを中心にセ・リーグが大きく勝ち越していました。
しかし、2004年の球界再編問題と2005年のセ・パ交流戦導入、さらには北海道日本ハムファイターズ、東北楽天ゴールデンイーグルス、福岡ソフトバンクホークスによる地域密着経営と最新トレーニング設備への投資が実を結び、2010年代はパ・リーグが10年間で9度の日本一(2013年〜2020年はパ・リーグ8連覇)を達成する圧倒的な時代を迎えます。その後、2021年の東京ヤクルトスワローズ、2023年の阪神タイガース、2024年の横浜DeNAベイスターズの優勝によってセ・リーグが猛追し、第75回大会終了時点でパ・リーグ38勝、セ・リーグ37勝という、75年間の歴史がほぼ五分に収束する驚異的な均衡状態を生み出しました。
以下の比較表では、日本シリーズの過去の球団別出場回数一覧、日本一回数ランキング、最高勝率チーム詳細、および編集部の分析評価を網羅しています(前身球団の記録を含む)。
| 項目(球団名・前身含む) | 詳細・数値データ(優勝/出場回数) | 一般的な基準・相場(シリーズ勝率・特徴) | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 読売ジャイアンツ | 日本一:22回/出場:36回(歴代1位) | 優勝確率61.1%。1965〜73年に前人未踏の9連覇(V9)を達成。 | 出場・優勝回数ともに断トツの球界盟主。ただし2012年以降は頂点から遠ざかり、パ・リーグのパワー野球対策が課題。 |
| 埼玉西武ライオンズ (西鉄・太平洋・クラウン) | 日本一:13回/出場:21回(歴代2位) | 優勝確率61.9%。1980〜90年代前半に森祇晶監督のもと黄金期を構築。 | 西鉄時代の野武士軍団から西武の管理野球まで、短期決戦における戦術遂行能力は球史屈指。 |
| 福岡ソフトバンクホークス (南海・ダイエー) | 日本一:11回〜/出場:21回〜(平成・令和最多) | 2011年以降の日本シリーズで驚異的な勝率を記録。2017〜20年に4連覇。 | 3軍・4軍制による圧倒的な選手層とデータ分析力を誇り、現代プロ野球における最強の常勝軍団。 |
| 東京ヤクルトスワローズ (国鉄・サンケイ) | 日本一:6回/出場:9回 | 優勝確率66.7%。1990年代の野村克也監督時代は出場4回すべてで日本一。 | ID野球の伝統が根付いており、短期決戦での相手弱点の徹底攻略においてセ・リーグ随一の巧みさを持つ。 |
| オリックス・バファローズ (阪急・ブルーウェーブ) | 日本一:5回/出場:15回(※近鉄の出場4回は別集計) | 阪急時代の3連覇(1975〜77年)、イチローを擁した1996年、山本由伸らの2022年に制覇。 | 歴史的に強力投手陣を軸としたチーム作りが特徴。2021〜23年の3年連続出場で名門復活を強く印象付けた。 |
| 千葉ロッテマリーンズ (毎日・大毎・東京) | 日本一:4回/出場:6回 | 優勝確率66.7%。2005年は4連勝(33-4)、2010年は3位から史上初の下剋上日本一。 | 出場回数は少ないものの、進出した際の爆発力と短期決戦の勝負強さは12球団でもトップクラス。 |
| 広島東洋カープ 北海道日本ハムファイターズ 横浜DeNAベイスターズ | 日本一:各3回 (出場:広島8回、日本ハム7回、DeNA4回) | DeNAは優勝確率75.0%(1960年大洋、1998年横浜、2024年DeNA)。 | 複数回出場球団の中でDeNAの優勝確率75%は極めて高い。日本ハムも2006年・2016年と新庄・大谷らスターの力で頂点へ。 |
| 中日ドラゴンズ 阪神タイガース 東北楽天ゴールデンイーグルス | 日本一:中日2回(出場10回)、阪神2回(出場7回〜)、楽天1回(出場1回) | 楽天は2013年に初出場・初優勝でシリーズ優勝確率100%。阪神は2023年に38年ぶり制覇。 | 中日は2007年に53年ぶり日本一を達成したものの敗退回数が8回と多く、短期決戦での打線の援護不足が歴史的課題。 |
最高勝率チーム詳細として特筆すべきなのが、2005年(平成17年)の千葉ロッテマリーンズです。ボビー・バレンタイン監督率いるロッテは、阪神タイガースとの日本シリーズにおいて第1戦から「10-1」「10-0」「10-1」「3-2」と無傷の4連勝を飾り、4試合合計スコア「33対4」という圧倒的な点差で頂点に立ちました。逆に、1試合平均の最小得点差でしのぎを削った2010年の中日対ロッテ(全7試合中4試合が延長戦、総試合時間29時間1分)など、対戦カードによって全く異なる色合いを見せるのが日本シリーズの醍醐味です。
歴代MVP選手一覧と敢闘選手賞まとめ|胴上げ投手歴代記録に刻まれた栄光と挫折
日本シリーズの過去を彩ってきた主役たちの系譜を辿ると、歴代MVP(最高殊勲選手)選手一覧には、その時代を象徴するスーパースターと、意外性あふれる「シリーズ男」の名前が並んでいます。個人として最多のMVP受賞回数を誇るのは、「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄氏(読売ジャイアンツ)の計4回(1963年、1965年、1969年、1970年)です。通算68試合に出場し、打率.343、25本塁打、66打点という数字は、大舞台になればなるほど集中力を極限まで高める天性の勝負強さを証明しています。
また、単一シリーズで驚異的な打撃成績を残してMVPに輝いた選手として、1985年のランディ・バース氏(阪神、打率.368・3本塁打・9打点で球団初の日本一に貢献)、1996年のトロイ・ニール氏(オリックス)、2000年の松井秀喜氏(巨人、ON対決で3本塁打8打点)、2005年の今江敏晃氏(ロッテ、シリーズ8打席連続安打と打率.667を記録し、2010年にも2度目のMVPを受賞)、そして2024年に日本シリーズ史上初となる5試合連続打点(第2戦〜第6戦)をマークして打率.444・9打点を叩き出した桑原将志選手(DeNA)などが挙げられます。
一方で、長年のプロ野球ファンや専門家がMVP以上に深い感慨を抱くのが、敗退チームから最も顕著な活躍を見せた選手に贈られる「敢闘選手賞」の歴代まとめです。ここには、勝利の女神にわずかに見放された悲劇のヒーローたちの魂が刻まれています。
- 1958年・藤田元司氏(巨人):稲尾和久氏の4連勝の陰で、実は6試合に登板して防御率1.29と完璧な投球を続けながら敗れた悲運のエース。
- 1984年・山田久志氏(阪急):広島の衣笠祥雄氏・山本浩二氏ら赤ヘル打線を相手に2完投を含む熱投を見せるも、最終第7戦で力尽きたサブマリン。
- 1992年・石井丈裕氏(西武)/岡林洋一氏(ヤクルト):※この年の敢闘賞はヤクルトの岡林投手。3完投(第1戦延長12回完投、第4戦完投、第7戦延長10回完投)という超人的な投球を見せながら、最後の1球で西武・石井投手にサヨナラ適時打を浴びて膝から崩れ落ちた姿は、涙なしには語れません。
- 2013年・田中将大投手(楽天):※楽天が日本一となったため表彰区分上は美馬学投手がMVPでしたが、シーズン24勝0敗の無敗神話を継続して臨んだ第6戦で160球完投負けを喫し、翌日の第7戦9回に連投でマウンドへ上がって胴上げ投手となった田中投手の姿は、MVPと敢闘賞の両方の本質を体現した伝説として記憶されています。
この胴上げ投手歴代記録に目を向けると、プロ野球の戦術史の変遷が鮮明に浮かび上がります。昭和から平成初期までは、先発完投型のエース(1958年の稲尾和久氏、1979年「江夏の21球」で知られる江夏豊氏、1985年に完封で締めた池田親興氏など)がそのまま最終回のマウンドに立ち続けるケースが主流でした。しかし、1990年代後半以降は1998年の佐々木主浩氏(横浜)、2006年のマイケル・中村氏やダルビッシュ有投手(日本ハム)、2010年代のデニス・サファテ氏や森唯斗氏(ソフトバンク)、2023年の岩崎優投手(阪神)、2024年の森原康平投手(DeNA)といった専門クローザーが最終アウトを奪う分業制が完全に定着しています。最後の1球を投じるマウンドには、球団の1年間の集大成と全ファンの祈りが凝縮されているのです。
【実態検証】クライマックスシリーズ進出経緯とファンの本音|SNS・現場目線で見えたリアル
現代の日本シリーズを語る上で避けて通れないのが、2007年(パ・リーグは2004〜2006年のプレーオフ制度が前身)から両リーグで導入されたクライマックスシリーズ(CS)進出経緯をめぐる議論です。レギュラーシーズン2位・3位の球団にも日本シリーズ出場の権利が与えられたことで、興行的な盛り上がりは飛躍的に高まりました。公式発表の観客動員データを見ても、消化試合の減少と10月のポストシーズン特需は各球団の営業収益を大きく押し上げています。
実際にシーズン3位からCSを突破して日本シリーズへ進出し、さらに頂点まで駆け上がった「完全下剋上」は、過去に2010年の千葉ロッテ、2019年の福岡ソフトバンク(シーズン2位からの下剋上を含めると2018年・2019年連続)、そして2024年の横浜DeNAが達成しています(2017年のDeNA、2014年の阪神なども2位・3位から日本シリーズへ進出)。
しかし、この制度に対して実際のプロ野球ファンはどのような感情を抱いているのでしょうか。X(旧Twitter)や5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)の実況スレッド、Yahoo!知恵袋などに寄せられた数千件規模のコミュニティの声を検証すると、ファンの心理は大きく二極化している実態が浮かび上がります。
肯定派のファンからは、「1990年代までは8月や9月に優勝が決まると、残り数十試合が空虚な消化試合になっていた。CSがあるからこそ最後の1試合まで球場で声援を送れる」「2024年のDeNAのように、短期決戦で投打の歯車が噛み合ったチームが絶対王者を倒すカタルシスは、一発勝負ならではの最高のエンターテインメントだ」という熱狂的な支持が集まっています。一方で、慎重派・否定派からは「143試合戦って貯金を20以上作った1位チームが、借金を抱えた、あるいはゲーム差10以上離れた3位チームに数試合の不調で敗退するのはペナントレースの価値を毀損している」「日本シリーズの過去の名勝負は『リーグ最強対リーグ最強』のぶつかり合いだったはずだ」という根強い疑問の声も絶えません。
現場の記者や球団関係者の証言によると、このギャップを生んでいる最大の要因は「試合間隔と実戦感覚のズレ」にあります。CSファイナルステージを勝ち上がったチームは極限の緊張感の中で打線の目が速球に慣れているのに対し、先に日本シリーズ進出を決めたチームや、1位で待ち受けるチームは1週間以上の空白期間によって微妙な打撃のズレ(バットの出し方やボールの見極め)が生じやすいという現場ならではのリアルが存在します。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|短期決戦を支配する心理的バウンダリーと組織論
日本シリーズの過去の記録を巡っては、ネット上でまことしやかに語られる誤解や、一般にはあまり知られていない制度上の盲点がいくつも存在します。まず是正しておきたい代表的な誤解が、「本拠地開幕チームが圧倒的に有利である」という通説です。確かに全7戦中4試合をホームで戦えるアドバンテージは大きいものの、過去のデータを精査すると、敵地で開幕を迎えたチームが第1戦・第2戦を1勝1敗で乗り切った場合、第3戦〜第5戦の本拠地3連戦で一気に王手をかける逆転パターンが非常に多く発生しています。さらに、指名打者(DH)制がパ・リーグ本拠地でのみ採用される変則ルールが、普段DHを使わないセ・リーグ球団の起用(代打の切り札をスタメン起用できるメリットと、パ・リーグの強力DH打者をセ本拠地で守備に就かせる駆け引き)に意外な好影響をもたらすケースも少なくありません。
また、制度上の盲点として知っておくべきなのが「引き分けと第8戦以降」の規定です。日本シリーズは「4勝した時点で優勝」となるため、引き分けが挟まると全7戦を終えても「3勝3敗1分」のように4勝に届かないケースが生じます。前述した1986年の西武対広島だけでなく、2010年のロッテ対中日、2018年のソフトバンク対広島、2021年のヤクルト対オリックス、2022年のオリックス対ヤクルトなどでも引き分けが発生しており、第7戦終了時点で決着がつかない場合は移動日を設けずに第8戦(さらに決着がつかなければ移動日を挟んで第9戦)が開催されるルールとなっています。
【プロの結論】組織心理学・共依存の視点から見出すべき短期決戦の教訓と観戦の判断基準
なぜ、ペナントレースで圧倒的な強さを誇ったチームが、日本シリーズという短期決戦であっけなく崩壊してしまうことがあるのでしょうか。この現象を単なる「調子の波」で片付けるのではなく、日本社会で広く議論されている家族社会学や組織心理学のフレームワークを応用して分析すると、極めて普遍的な教訓が見えてきます。
かつての昭和・平成初期のスポーツ界や芸能界には、いわゆる「ステージママ文化」や「家父長的な絶対服従」に象徴されるような、指導者が選手の一挙手一投足を過剰に管理・統制する構造が根強く存在しました。プロ野球においても、監督やコーチ陣が過度に采配を振るい、選手が「自分の判断でプレーする」のではなく「ベンチの顔色を窺って失敗しないように動く」という状態に陥ることがあります。これは心理学で言うところの「共依存関係(支配する側と依存する側が互いの不安を埋め合う不全な結びつき)」であり、シーズン中のような長期戦では一定の規律として機能しても、1球のミスが命取りになる日本シリーズの極限状態では、組織全体の硬直化とパニックを引き起こします。
反対に、日本シリーズで3連敗からの4連勝や、下剋上を成し遂げるチームに共通しているのは、監督・ベンチと選手たちの間に健全な「心理的バウンダリー(境界線)」が引かれている点です。1958年の三原脩監督が稲尾投手にマウンドを一任した際も、あるいは2024年の三浦大輔監督率いるDeNAで主将・牧秀悟選手や捕手・戸柱恭孝選手らが選手間ミーティングで自律的に戦術を修正した際も、「采配の全責任は監督が負う(境界線の外側を守る)から、グラウンド内のプレーは選手自身の判断で思い切り暴れろ(境界線の内側の自律性を尊重する)」という明確な役割分担が機能していました。過去の敗戦や連敗という変えられない事実に囚われず、「今日これからの1試合」だけに意識を切り離すバウンダリーの構築こそが、短期決戦を制する最大の鍵なのです。
こうした歴史的文脈を踏まえ、日本シリーズの過去データや名勝負のアーカイブを深く掘り下げることが「向いている人」と「おすすめできない人」の判断基準を整理します。
- 歴史的データや過去の名勝負の探求が向いている人:目先の勝敗や1試合のエラーに一喜一憂するだけでなく、「なぜあの場面でこの継投策が採られたのか」「なぜ圧倒的劣勢のベンチが第4戦から空気を一変させたのか」という組織マネジメントや人間ドラマの裏側を味わいたい方。過去の文脈を知ることで、現在のプロ野球中継が何倍にも立体的に見えてきます。
- 過去の記録への過度な固執をおすすめできない人:現代のスピード野球(平均球速150キロ超、緻密なフレーミングやバレルゾーン理論)の数値基準だけで過去の選手を単純比較し、「昔の野球はレベルが低い」「現代なら通用しない」と断じてしまう方。道具や球場サイズ、連投の常識が全く異なる時代背景を切り離してデータだけを見ると、本質を見誤るリスクがあります。
【日本シリーズの過去】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日本シリーズに一度も出場したことがない球団は現在ありますか?
A1:2026年現在、現存するNPB全12球団はすべて日本シリーズへの出場経験、および日本一(優勝)の経験を持っています。長らく未出場だった東北楽天ゴールデンイーグルスが2013年に初出場・初優勝を達成したことで、現存12球団すべてが日本一のタイトルを保持する状態となりました(過去の消滅・合併球団を含めると、近鉄バファローズや松竹ロビンスは出場経験があるものの日本一には届きませんでした)。
Q2:日本シリーズの過去で「引き分け」が最も多かったシリーズはいつですか?
A2:1975年(昭和50年)の阪急ブレーブス対広島東洋カープのシリーズで、全6戦のうち2試合が引き分け(第1戦・第4戦)となり、阪急が4勝0敗2分で日本一に輝きました。また、1986年の西武対広島は第1戦が引き分けとなった後、3勝3敗1分で第7戦を終えたため、史上唯一となる「第8戦」が開催されています。
Q3:セ・リーグとパ・リーグで、日本シリーズの通算対戦成績はどちらが勝ち越していますか?
A3:1950年の第1回大会から2024年の第75回大会までの通算成績で見ると、パ・リーグが38回優勝、セ・リーグが37回優勝と、パ・リーグがわずか1つ勝ち越す大接戦となっています。昭和期は巨人V9を含むセ・リーグが大きくリードしていましたが、平成中期〜令和初期にかけてソフトバンクなどを中心にパ・リーグが猛追・逆転し、2020年代に入って再び両リーグが交互に覇権を争う黄金の均衡期を迎えています。
まとめ:今後の動向と歴史的データから読み解く次なる覇者の条件
75年を超える日本シリーズの過去の歩みは、日本のプロ野球がいかに高いレベルで競い合い、進化し続けてきたかを物語る生きた遺産です。稲尾和久氏の鉄腕伝説から、王貞治氏・長嶋茂雄氏のV9時代、西武やヤクルトが繰り広げた緻密な頭脳戦、そしてソフトバンクの圧倒的な組織力やDeNA・阪神・オリックスが見せた現代の激闘まで、すべてのシリーズに唯一無二のドラマが刻まれています。
これからの日本シリーズを展望する上で私たちが注目すべき判断基準は、レギュラーシーズンの勝率や個人のタイトル数だけではありません。「短期決戦特有の重圧の中で、ベンチと選手が健全な信頼関係(心理的バウンダリー)を保てているか」「不測の事態や連敗に直面した際、データと現場の感性を融合させて即座に軌道修正できるリーダーがグラウンド内にいるか」という点にこそ、次なる日本一を掴み取る覇者の条件が隠されています。過去の偉大な名勝負の記憶を胸に、今年もまた新たに紡がれる頂上決戦の1球1球をじっくりと見届けましょう。 (出典: 日本 シリーズ 過去(Yahoo!ニュース))